山の神の独り言(2021/5/24)

『木に絡みついた蔦の威力』


木に絡みついた蔓(つる)の話は、以前のブログでも書いたけど、蔓の中にも種類が沢山あって、木へ絡まる場合も色々なバリエーションがあるんだよね。

例えば、ツタウルシなどは比較的、木の木肌を這うように絡まり、切って剥ぎ取るとメリメリと剥がれて来るから処理しやすいし、木にめり込むことがあまり無いので、木に対する負担もさほどかからないんだよね。

木に一番負担がかかる蔓植物は蔦(つた)だよね。
蔦は蔓自体が木に直接接着するような構造を持っていないので、木にらせん状に絡みついて、絡みつく力で蔓を維持しているんだよね。
従って、蔦が絡みつくと、蔦の締め付ける力で絡みついている部分の成長が阻害され、蔦が絡んだ形にへこむ状態になるんだよ。
丁度、大蛇が木に絡んでとぐろを巻いているイメージだよね。

蔦の蔓って硬くて木部の構造がしっかりしているので、絡みついて締め付ける力が強いらしく、木が成長するとともに木の幹に蔦の溝が出来るんだよね。
こんなに締め付けられたら木も苦しいだろうと思うくらい深くめり込んでいるんだよ。

蔦を切る作業の時には、早く楽にしてやろうと思って、鋸(のこぎり)で蔦の蔓を切るんだけど、蔦を切った瞬間「バキッ」という音がして、絞めている蔦の拘束力が解けると共に、絞められている木の圧力も発散される音のように思うんだよね。

蔦を切る度に「バキッ」という音がするので、木が「楽になった!」と言っている錯覚に陥るんだよ。
蔦を切って「バキッ」という音を聞くたびに、「また一本、人助けではなく、木助けをした」と思うと満足感が湧くんだよね。

2021年05月24日